Stunts, Blunts and Hip Hop


 

diamond d South Bronx出身のDiamond DLord Finesseと並ぶD.I.T.C.(Digging In The Createsの略。過去の黒人音楽の作品をサンプリングソースとして掘り漁ることを意味する)の最古参のメンバー。Diamondはもともとは別のグループに入っていたのだが、ロード・フィネスへのトラック提供などを通じて、フィネスとの繋がりを深めていったという。

 フィネスが素人時代に一流のフリースタイラーだったというが、Parcee PA.G.とバトルをしていたことは有名ですな。とりわけパーシー・ピーとのバトルは伝説的なもの。このフィネスのA.G.との人脈を通じて、Diamond DはA.G.とも知り合ったらしい。またShowbizとは、Diamond Dが公園でブロックパーティーのDJをしていた頃からの知り合いだった(Diamond Dのキャリアは相当に長く、70年代末にはすでに活動を開始していたという。下積み時代がかなり長かったと言える)。

 こうして出来上がったのが、D.I.T.C.の原型。まずはこの4人だったのであり、Diamond DはLord Finesseと並ぶ最古参のリーダー格なのは間違いない。

 Diamond Dは名プロデューサーであるが、猛者ぞろいのD.I.T.C.の中では目立たない存在かもしれない。初期はShowbiz、90年代中盤にはBuck Wildがトラックメーカーとして一世を風靡した。ラッパーとしてはリリシストO.C.やD.I.T.C.でも一番スター性があるBIG Lとは比較対象にもならないかもしれない。また、Lord Finesseはラップ(フリースタイル)、トラックメイキング、ダンスとすべてができるMr.Hiphopといった存在。

diamond d 1st そんなダイヤモンドDの"Stunts,Blunts & Hip-Hop"はD.I.T.C.作品の中でも必聴の一つとはされるが、"Runaway Slave"や"Word...Life"ほどのプロップスは受けていないだろう。しかし、私はDiamond Dのこの1stがD.I.T.C.作品群でも一番ぐらいに思い入れがある。

 この1stにおけるダイヤモンドDのトラックには暖かみがある。2ndやファット・ジョー作品ではこの暖かみは残念ながら失われてしまっている。そういう意味でも、この1stはダイヤモンドDが本当に良かった時の貴重な記録だと思う。下に私が翻訳(ほぼ直訳)した曲は、"Stunts,Blunts & Hip-Hop"の隠れた名曲"Feel the Vibe"(ショービズとの共作)だが、トラックにも歌詞にもDiamond Dの魅力つまっているこ。どこか地味なゆえに目立たないのかもしれないが(youtubeではびっくりするぐらい再生数が少なかった)この曲一つを聞いても、Diamond Dが過小評価されてきたアーティストであることが分かる。


Feel the Vibe

みんな集まってVibeを感じろ
俺はこの深遠なサウンドを宣伝する
HIPHOPを本質に戻さなくてはならない
商業主義になりがちだから、授業が必要だな
お前は自分の手を汚して、ストリートに耳を傾けろ
そうすればお前は錆びつかない

ファンクなVibeに集中しろ
ティンバーのブーツを履いて、ルーツを学ぶんだ
俺は俺の芸術に対しては偽らない
俺はこの病んだgrooveでお前の頭を揺らす
俺のVibeは伝染性があるし、エロティックだ
俺はビートが好きすぎて、ほとんど神経病患者だ
俺はMACK10みたいに贈り物をばらまくぜ
昔からよくサンプリングのビートを作ってきたもんだ

しかしゲームは変わってしまった
アーティストは名前を売るためにセルアウトする
アンダーグランドのヒップホップファンたちは(この状況に)もう我慢ならない
だからChuck Connorsみたいにやるぜ
なぜならお前はもうセルアウトにブランドされてるからな
だからここから出ていけ
お前がVibeを感じれないから、ノックアウトするぜ

フック (求めてたVibeはこれか?)(ダイヤモンドがそのラインをひとっ走りするぜ)
(求めてたVibeはこれか?)(お前はその時間に間に合ったぜ)
(メニューにあるものを続けさせてくれ)
(俺はクリエイツの中から掘ってたんだ)

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